オルレアン

オルレアン(Orléans)

オルレアンはジャンヌ・ダルクの街です。オルレアンはフランス王国の牙城でしたが、中世の百年戦争でイギリス軍に包囲されて王国の存立が危うくなったとき、フランス軍の陣頭に立って街を解放したのがジャンヌだったからです。今もジャンヌ・ダルクは救国の英雄として、オルレアン市民の心の中に息づいています。

オルレアンは大西洋に注ぐロワール川の畔にある、ロワレ県の中心都市です。パリのオステルリッツ駅から1時間で行けます。オルレアン駅自体は行き止まりで、国鉄の本線は市内一つ手前のオブレ(Aubrais)駅から分岐しています。オルレアン駅へ直行の便もありますし、オブレ駅で乗り換えなければならない場合も多くあります。オブレ駅からオルレアン駅へはトラムも走っていて、10分ほどの距離なので時間帯によって選択しましょう。ただ、オブレ駅周辺はただの住宅街です。

オルレアンは人口14万人強の小都市ですが、非常に小ぎれいで、落ち着いた街です。街を歩いているとあちこちでジャンヌ・ダルクの像に出会えます。駅から真っ直ぐロワール川に向かって500㍍ほど歩くと、マルトロワ広場の中央にジャンヌ・ダルクの像が立っています。ジャンヌの時代の城壁は残っていませんが、広場から少し南に下ったところに彼女が居を構えていたという小さな家が復元されていて、「ジャンヌ・ダルクの家」と呼ばれています。トラムの通る道に沿ってさらに南へ進むと、すぐにロワール川が見えてきます。そこに架かるジョルジュ・サンク橋の南側がジャンヌ・ダルクのオルレアン解放戦争最大の激戦地となったところです。

マルトロワ広場に立つジャンヌ・ダルク像  

    「ジャンヌ・ダルクの家」


引き返して東へ道を取ると、百年戦争当時からあるサント・クロワ大聖堂に行き着きます。ジャンヌ・ダルクの生涯を描いたステンドグラスが多くあります。

通りから臨むサント・クロワ大聖堂  

ジャンヌ・ダルクの生涯を描いたステンドグラス


オルレアン駅に戻る途中の市庁舎の前には、市役所が一時期おかれていたという「グロロ邸」。グロロ家はユグノー戦争(宗教戦争)で荒れる16世紀に商人から町の判官になった名望家で、ルネッサンス様式の建築の内部は彫刻や紋章で溢れています。特に目に付くのが数多い部屋のそこここにあるジャンヌ・ダルクの肖像画。邸正面にもジャンヌの像。オルレアン市民が街を救ったジャンヌをいかに崇拝しているかが伺えます。

「グロロ邸」の外観          

   ジャンヌ・ダルクの肖像画

フランス事始め

政治から文化まで世界のモードを牽引してきたフランスを多面的に論じ、知識・理解を深めてもらうことで、我々の人生や社会を豊かにする一助とする。カテゴリーを「地理・社会」「観光」「料理」「ワイン」「歴史」「生活」「フランス語」と幅広く分類。横浜のフランス語教室に長年通う有志で執筆を手掛ける。徐々に記事を増やしていくとともに、カテゴリーも広げていく。フランス旅行に役立つ情報もふんだんに盛り込む。

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