フランス語のイロハ(フランス語習得のコツ)

1. 旅先フランス語体験

私がフランス語教室に通い始めたのは2011年。それ以前に、パリには二度訪れています。最初は04年に、パリを中心にフランス観光の定番コースを巡りました。ルーブルとオルセーの両美術館で著名な絵画を堪能し、ヴェルサイユ宮殿とモン・サン・ミッシェルも訪れました。二度目は10年に、イタリア・ミラノからパリまで鉄道旅行。観光の中心はスイスで、ドイツ語圏のチューリッヒとともに、フランス語圏ではジュネーブを訪れ、登山鉄道を利用して保養地サンモリッツや名峰ユングフラウヨッホにも足を伸ばしました。


フランス語はというと、NHK教育テレビのフランス語会話で、多少は慣らしたという程度。そこで定番の会話の例文を頭に叩き込んで、実践で試してみることにしました。


その後、フランス語圏ではベルギーやカナダ・ケベック州を訪れ、2019年夏には再びフランスを訪れ、初めてモナコにも足を踏み入れました。ヨーロッパを中心に世界の訪問国は32カ国に達しました。私はフランス語と並行して英語、ドイツ語の教室にも通ってきたことで、旅を重ねるごとに各国での様々な場面に応じた外国語会話に自信を深めてきました。

旅先でのフランス語実践を通じて、クラスとは違った体験ができ、毎回少しずつ自分の成長の糧にできています。上手くいったことがある一方、逆にできなかったこと、課題もたくさん見つかります。語学の上達は果てしない道程です。
ここでは、フランス語を始めた当初に立ち返って、独学でフランス語会話をどう習得し、旅行で実践したか、当時の私の経験から述べたいと思います。


2. 例文をひたすらリピーティング

教材)NHK教育テレビのフランス語講座
練習方法)例文40個の暗記とリピーティング
習得内容)発音、読み方、旅行会話

~NHK教育テレビの例文を暗記~

2004年に初めてのフランス語体験旅行でパリを訪れた頃は、まだフランス語クラスに通っていませんでした。自らフランス語をアウトプットする機会は無く、そもそもインプットの絶対量も圧倒的に不足していました。いざというときはコミュニケーションの代替手段は英語・筆談を考えてはいましたが、先ずはNHK教育テレビのフランス語会話の例文を丸ごと覚え、そのまま試してみることを第一に考えました。

当時のNHK教育テレビは年間プログラムで、40個の例文を取り上げていました。各放送回で例文を一つ取り上げ、月に1回のペースで復習編が放送されるので、一年間で例文を40個という、ゆっくりとしたペースです。フランス語を旅先で実践する映像が流れるので、自分が旅行するときにもイメージが湧きやすかったです。当時は放映テキストは毎月購入して、例文の文法事項や単語についての解説を読んで学習の助けにしていました。

~一文を言い切ることを意識~

例文を覚えるに当たっては、テレビの発音を真似する事が大切だと思います。真似する時は、リズム・区切りを付けて、一文を言い切ることを意識、いわゆるリピーティングを実践します。比較的短い文をリピーティングするだけでも、構文力、語彙力に加え、発音・リスニングも同時に鍛えることができます。特に、主語も動詞活用も省かないことは、文法も含めた総合力の向上につながるのでお勧めです。

英語学習の経験から、TOEICのPart1~2セクションは、その最適なトレーニングです。フランス語でピッタリ同じものはありませんが、TOEIC教材で体感することをお勧めします。


トレーニング方法は、設問のショートセンテンスを聞いて、再生プレイヤーを一時停止、リピーティングするというものです。最初は耳で聞いたままに音を再現する事にトライ、すぐにスクリプト(原稿)を確認、同じスピードで真似る練習を繰り返します。

テレビやラジオのフランス語講座だと、たいていスクリプトがあるので、練習に向いていると思います。ただし、仏検(実用フランス語技能検定試験)のディクテーション・書き取り用の音声教材などは、ゆっくり過ぎて向かない気がします。あくまでディクテーションは、別の能力向上のためだと思います。


3. 旅先で実践したフランス語

~簡単なやり取りを楽しむ~

先の語学のコツで触れた通り、旅行に使える例文は仕込んでいったので、定番の会話を多少はこなせる状態でした。初心者向けの例文は挨拶とともに、相手が「oui」(ウィ=はい)、「non」(ノン=いいえ)で答えられる会話文が多いので、簡単なやり取りを楽しむことができます。まだまだ双方向のコミュニケーションが出来るレベルではありませんですが、少し習っただけの外国語が通じるのは、語学学習の楽しみですね。

~挨拶は簡単、定番の会話文を試してみる~

まず挨拶、お店や窓口では必ず一声かける習慣があるので、明るく大きな声で「おはよう/こんにちは」に相当する「Bonjour.」(ボンジュール)と声掛けします。お店の去り際には「さようなら」「Au revoir.」(オ ルブォワール)と言います。

駅の窓口で「ベルサイユまで行きたいです」というときは、「Je voudrais aller à Versailles.」(ジュ ヴゥドゥレ アレ ア ヴェルサイユ) といいます。

レストランやカフェで「コーヒーを一杯お願いします」と注文したいときには、「Un café, s’il vous plaît. 」(アン カフェ シル ヴー プレ)、最後に「お勘定をお願いします。クレジットカードを使うことができますか?」という「L’addition s’il vous plaît. Je peux payer avec une carte de credit?」(ラディスィヨン シル ヴー プレ。ジュ プー ペイエ アヴェキュヌ カルト ドゥ クレディ)といいます。

初回の一人旅では語学力も低い状況でしたが、これら挨拶、駅の窓口、レストランの会話パターンを身に着けると、ずっと使い続けることができます。


~想定外の事態には腹をくくる~

それでも想定外の事態は常に起きるものです。「oui」か「non」で答えてほしいのに、違うパターンで来られるとき。例えば、支払いの際にレジにお釣り銭が無いらしく、もっと細かいお札・硬貨が無いのか?というニュアンスのことを言われたことがありました。最初は何を言われているかわからず、繰り返し聞いているうちにニュアンスが分かる、といった次第です。これはもうパニックです!


でも実は、日本語でも想定外のシチュエーションが起きると、飲み込むまで時間が掛かるもので、割り切って諦める方が良いです。早い段階で「分かりません」と伝え、理解できていないことを示すのがベターです。事前に準備できることは、先人たちの体験談や、自分自身で経験を重ねることでパターンを増やすことです。ここで事例にあげた「釣り銭が無い」というのは、キャッシュレス化が世界的に進んできているので、日本にいる時よりも頻繁に起こりうると知っておくと良いと思います。


フランス語圏に旅行する際は、皆さんもフランス語の定型例文を仕込んで実際に試してみることをお勧めします。そこに、現地との接点を感じることができます。

フランス事始め

政治から文化まで世界のモードを牽引してきたフランスを多面的に論じ、知識・理解を深めてもらうことで、我々の人生や社会を豊かにする一助とする。カテゴリーを「地理・社会」「観光」「料理」「ワイン」「歴史」「生活」「フランス語」と幅広く分類。横浜のフランス語教室に長年通う有志で執筆を手掛ける。徐々に記事を増やしていくとともに、カテゴリーも広げていく。フランス旅行に役立つ情報もふんだんに盛り込む。

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